不整脈

最近の不整脈治療におけるトピックを2つ紹介します。

最初は最も罹患する患者さんの多い不整脈の一つである心房細動の治療についてです。心房細動は長い間薬物治療が唯一の治療法でしたが、1980年代に心房にいくつかの切開線を入れ電気の流れ路を変えるメイズ(maze)手術が開発され高い有効率が報告されました。

しかし外科的処置であり心臓への負担が大きいことからあまり一般的にはなりませんでした。

その後、メイズ手術の外科的切開線と同様の効果のある伝導途絶線を血管を通して心内に挿入したカテーテルを使って作る方法も試みられましたが、これも技術的問題点が多く現在は殆ど行われていません。

発作性心房細動は期外収縮をきっかけに始まることが多く、その引き金になる期外収縮の多くが肺静脈や上大静脈内にあるという画期的な発見が90年代後半に報告されました。

そして、その引き金となる期外収縮の発生源をカテーテルを用いて焼灼することで根治あるいは発作頻度の大きく減少させることができることも分かってきました。

遠隔成績はまだ不明な点がありますが、術後1年間で有効率は60%程度のようです。

2つ目の話題は直接不整脈に関係するものではありませんが、従来不整脈治療に用いられていたペースメーカー治療が他の心臓病にも有効であるという発見です。

心不全は種々の心臓疾患の末期的症状として出現する状態で最終的には移植治療等が必要になります。

程度の差はあっても世界中で臓器提供者は不足しており、末期心不全患者の生命予後を改善する治療が必要とされていました。

いくつか延命が得られる有効な薬も発見されていますが十分なものとは言えない状況でした。最近その末期心不全患者さんの治療法として良好な成績が報告されている治療として両室ペーシング法があります。

ペースメーカーは脈拍数が遅くなることで症状が出る場合に使用する治療で、通常心室では右心室のみに電気刺激を行います。

この両室ペーシング法では右心室と左心室の両方に電気刺激を行うことで心室の収縮効率を上げ、延命効果が得られると考えられています。

実際この治療開始後1年の生存率は両室ペーシングを行わない場合に比べて明らかに良いと報告されています。

日本ではまだ保険適応となっていませんが、近いうちに使用できるようになる予定です。